“家庭で和食の秘密:煮干し出汁の基礎とプロの時短テクニック”

「煮干しの出汁」と言われてみなさんが連想するものは何でしょう?


ラーメン業界では煮干しラーメンが定着しています。みそ汁のや鍋の出汁に入れられる事も多いのではないでしょうか。

煮干し出汁は日本の伝統的な食文化の核心として位置づけられ、その特有の風味や栄養的な価値が評価されています。しかし、現代の多忙な生活スタイルの中で、煮干し出汁を一から作るのは容易ではないと感じる方も少なくないでしょう。

特に、仕事や子育てに追われる家庭では、限られた時間の中での調理が求められます。

そこで、短時間で手軽に煮干し出汁を作るコツ。特定の温度や時間を厳密に守ることなく、手早く美味しい出汁を引き出す方法をご紹介します。

出汁取る行為がハードル高いとお思いの方が大半だと思います。
仕事、家事、育児に追われて出汁を取る時間なんてない。

そんな方に「超時短、超手抜き出汁」レシピと煮干し出汁の良さについてお伝えします。

記事の最後に時短出汁の取り方を紹介しています

煮干し出汁とは

まず、煮干し出汁とは何でしょうか?

これは、日本料理の不可欠な一部で、その風味と高い栄養価で知られています。

煮干しとはな名前の通り「煮る」「干す」作業を経てできた乾物です。うどん、ラーメン、和食、様々な料理に使われ、独自の風味と深い旨味をもたらします。

煮干し出汁の効能

まず、煮干し出汁の効能について探りましょう。煮干しには以下の利点があります。

■栄養価

  1. カルシウム: 煮干しは骨ごと食べられるため、カルシウムが豊富です。カルシウムは骨や歯の健康に不可欠です。
  2. タンパク質: イワシは良質なタンパク質の源です。タンパク質は体の成長や修復に必要です。
  3. DHAとEPA: イワシには、オメガ3脂肪酸の一種であるDHAとEPAが含まれています。これらは心臓の健康や脳の機能に良いとされています。
  4. ビタミンB12: イワシにはビタミンB12が豊富で、赤血球の形成や神経系の健康に重要です。
  5. 鉄分: 煮干しは鉄分も含んでおり、貧血の予防に役立ちます。
  6. 亜鉛: 免疫システムの機能に不可欠なミネラルであり、煮干しにも含まれています。
  7. イオウ: 甲状腺の健康に必要なミネラルで、煮干しにも含まれています。


風味

  1. 独特の風味: 煮干し出汁は、魚の独特の風味が強く、料理に特有の香りと味を与えます。この風味は、片口イワシ特有の油分と成分によるものです。
  2. 料理の深み: 煮干し出汁を使うことで、料理に深みや層を加えることができます。これは、出汁の風味が料理の基底となり、他の成分と融合して独特の味わいを生み出すためです。
  3. 調和とバランス: 煮干し出汁は、塩分や甘味、酸味といった他の味ともよく調和します。これにより、料理全体のバランスを整えることができます。
  4. 風味の変化: 煮干しの品質や種類、煮出し方によって、出汁の風味は変わります。高品質の煮干しや丁寧な煮出し方は、より洗練された風味を生み出します。
  5. 多様な用途: この出汁は、みそ汁、うどんやそばのつゆ、煮物、和風の炒め物など、様々な料理に使用されます。それぞれの料理において、煮干し出汁は重要な風味の要素となります。


減塩効果

  1. 旨味成分による味の強化: 煮干し出汁には自然な旨味成分が含まれており、これが料理の味を強化します。グルタミン酸やイノシン酸などの成分が料理の基本的な味わいを深めることで、塩分を少なくしても満足できる味になります。
  2. 塩分の直接的な削減: 出汁を使用することで、料理に必要な塩分の量を減らすことができます。出汁自体が風味を加えるため、塩や醤油などの調味料を控えめにしても、料理が物足りなくなることが少なくなります。
  3. 料理の味のバランス: 煮干し出汁を使うことで、料理全体の味のバランスが整い、塩分の過剰な使用を防ぐことができます。出汁の風味が料理の他の要素と調和し、塩味に頼らずとも満足感を得られます。
  4. 健康への利点: 減塩は高血圧や心臓病のリスクを減らすのに役立ちます。煮干し出汁を使用することは、美味しさを保ちながら、健康的な食生活に貢献する方法の一つです。
  5. 味覚の調整: 煮干し出汁などの旨味を含む食材を使うことで、塩分に頼らない味覚への調整が可能になります。これは、特に減塩を意識している人々にとって有益です。


低カロリー

  1. 低カロリーの特性: 煮干し出汁自体は非常に低カロリーです。出汁は水と煮干しで作られるため、そのカロリーはほとんど無視できます。これにより、カロリーを気にする必要がある食事計画に適しています。
  2. 風味の強化による脂質・糖質の削減: 煮干し出汁を使用することで、料理に深みと旨味が加わり、脂質や糖質の多い調味料の使用量を減らすことができます。例えば、油や砂糖を多用する代わりに出汁で風味を加えることで、全体的なカロリー摂取を抑えることが可能です。
  3. 食事の満足度向上: 旨味成分が豊富な煮干し出汁は、少量で満足感を得られることがあります。これにより、全体的な食事量を減らすことにつながり、結果的にカロリー摂取量を抑えることができます。
  4. 多様な料理への応用: 煮干し出汁は、スープや煮物、和え物など、多様な料理に使用できます。これらの料理を低カロリーで調理する際、出汁は風味を損なうことなく、軽い仕上がりを実現する手助けをします。
  5. 健康的な食生活への寄与: 煮干し出汁を含む伝統的な日本食は、バランスの取れた低カロリーな食事として知られています。出汁を基本とする料理は、栄養価が高く、健康的な食生活をサポートします。

煮干しの種類

煮干しといっても種類は様々です。
業務用(外食)で使用される煮干しは、アジ、タイ、真鰯、サバ、ウルメイワシ、など種類が多く、それぞれの出汁に特徴があります。タイ煮干し、やアジ煮干しは一般家庭で使う事は殆どないでしょう。
煮干し出汁で主流になのが「片口イワシ」です。
写真

片口イワシは大きく分けて「白口」「黒口」の2種類に分ける事ができます。

瀬戸内海で水揚げされる片口イワシが「白口」それ以外で取れる物を「黒口」と呼びます。地域によって「背黒」「青口」とも呼ばれます。

  • 「白口」と「黒口」の違い

黒口煮干しの特徴は背中が黒く、白口に比べるとサイズが大きいため一目見ればわかります。触った感触も硬くしっかりとした煮干しです。

白口煮干しは名前の通り白く、サイズも小さい物が多いです。黒口はそのまま食べる事は難しいですが、白口は身が柔らかく、そのまま食べても美味しく頂けます。

  • 色の違い

なぜ色が違うのか!
これについては原因がはっきりとしてないそうです。
白口煮干し」は瀬戸内の穏やかな海で育つから身も小さく柔らかい、「黒口煮干し」は外の海で荒波に揉まふ事で大きく育ち、空からの天敵に見つからないように背中を黒へ変化させ海に同化させた、など様々です。

  • 味の比較

黒口煮干しは「うどん出汁」「ラーメンスープ」に使われるの事が多いです。

白口煮干しはどのジャンルの料理にも合わせる事ができます。

黒口煮干しは煮干しの香りが強く深みある出汁

白口煮干しは出汁のうま味は強いが煮干し臭さが少なく飲みやすい出汁になります。

言葉で伝えつのは難しいですが、お酒で例えると、

黒口:ウイスキーがガッツリ効いたジンジャーハイボール

白口:飲みやすいレモンサワー

こんな感じです(笑)

煮干しの選び方

好みにもよりますが、初めて出汁を取る方には「白口煮干し」がお勧めです。黒口で出汁を取る時は注意点があります。以下の通りです

  1. 分量:白口煮干しと比べ味にインパクトがあります。分量を間違えて少し多く入れるだけでも出汁が濃い、苦くなる可能性があります。
  2. 温度:1と同じく温度調整を間違えると苦い出汁になる可能性があります

黒口煮干しとは対象的で白口はスッキリとしたお出汁を取ることができるため、分量、温度、煮出し時間をそこまで気にする必要はありません。

  • 黒口と白口の見分け方

見分け方は簡単で、先ほども少し書きましたが、

「背中が黒い」=黒口

「背中が白い」=白口

スーパーで販売されている煮干しには「白口」「黒口」と記載はありません。〇〇産煮干しの記載は多く見られます。

白口、黒口で分けられた後、さらに大羽・中羽・小羽に仕分けされるのですが、スーパーでそこまで仕分けされている商品は少ないです。

ご自宅でご利用の場合は「白口煮干し」を選んで頂ければ必ず美味しいお出汁を引くことが出来ます。

煮干し出汁の取り方

  1. 材料の準備
    • 煮干し:20〜30g(白口煮干し)
    • 水:1L(煮干しの分量は水に対して2%~3%が目安です)
  2. 煮干しの下処理 
    • 煮干しは先にさっと水で洗い、頭と内臓を取り除きます。これにより、苦味や臭みを減少させることができます。
    • ※白口煮干しはもともと雑味が少なく澄んだ出汁を取ることができます。煮干しの香りが苦手な方は2番の作業を行ってください。
  3. 出汁を取る
    • 大きめの鍋に1Lの水を入れ、煮干しを加えます。
    • ※煮干しを前日から水に着けると、うま味を抽出しやすくなります。出汁取り15分前に着けるだけでもOKです。
    • 中火にかけて温め、沸騰直前で火を弱めます。(沸騰させてしまっても問題ありません)
    • 約5分〜15分程度、中弱火で煮ます。(ポツポツ気泡が出てくる温度)
    • 出汁の色や香りが出てきたら、火を止めます。
  4. 濾す
    • 出汁を濾し器や布巾などを使ってこします。この時、煮干しを押しつぶさないように注意してください。(濾し器や布巾がない場合はザルでも全然OKです。煮干しの小さなガラが入りますが全く問題ありません。)
  5. 完成
    • 煮干し出汁が完成しました。料理によっては、醤油や塩などで味を調えることができます。

この出汁は、みそ汁や煮物、うどんやそばのつゆ、離乳食、さまざまな料理に使用することができます。煮干しの種類や量、煮る時間を変えることで、お好みの味や濃さに調整することができます。

時短、煮干し出汁

上記は時間がある方への出汁の取り方です。

ここからは超時短だしです。

  • 材料:使い捨てティパック袋(100円ショップ・AMAZON)
  • 煮干し20g適当に砕き中に入れて完成(昆布を少量入れるともっとおいしくなります)

例)味噌汁のレシピ

  1. 水1ℓ 作った煮干しパックを入れ火をかける。
  2. 大根、人参、玉ねぎなど好きな材料を入れ煮干しパックと一緒に煮込む(少し強火で)
  3. 野菜が柔らかくなった時点で味噌を入れて完成
  4. 煮干しパックは取り出さず味噌汁の余熱でうま味を出し切ります。(冷めたら取り出す)

出汁だけを取る作業を無くし、一緒に炊き込むことでかなりの時間を短縮できます。白口煮干しは出汁がスッキリしているので温度も気にすることなく野菜と一緒に煮込むことができます。

他にも、親子丼、かぼちゃの煮物、お浸し、うどん、など全て出汁取りと同時並行で料理ができます。

忙しく、時間のない現代人、その中で少しでも日本が世界に誇れる出汁文化を味わってください。

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