鰹節(かつおぶし)は、日本料理の不可欠な要素であり、出汁(だし)をとるために広く使用されています。
その風味と栄養価から、多くの日本料理のベースとなっています。
和食は世界的にも多く知られ無形文化遺産にも登録されています。この記事では、鰹節の種類と出汁の取り方について探求します。
鰹節の種類
鰹節は大きく分けて2種類に分ける事ができます。
・荒本節
・枯本節
この2種類の鰹節を形状、厚みを変えて削る事で数多くある料理の下地になる出汁や料理の印象を変えるトッピングに姿を変えていきます。それではもう少し掘り下げていきます。
荒本節と枯本節の違い2つの違い
この二種類の違いは簡単で、・枯本節=「カビ付き」・荒本節=「カビ付きではない」に分かれます。
簡単に製造工程を説明します。
生切り(捌く)→かご立て→煮熟→骨抜き→培乾(ばいかん)→研磨→カビ付け→乾燥。
細かく分けるともう少し工程は増えますが、大まかには上記の工程になります。
(荒本節は研磨の後、乾燥させ、完成です)
鰹節になる鰹は脂分の少なく身が締まってる物が望ましく、高値で販売されます。枯本節になる鰹はもともと脂分が少なく状態の良いものがカビ付け工程を経て製品になります。
「脂分が多い」「身割れをおこしている」鰹は荒本節の中でランク分けされ、脂分、身割れが多い程、安価で取引されます。
鰹節の脂分が多いとどうなるの?
刺身、焼き魚にする魚は、脂分が多い方が好まれます。しかし鰹節や煮干し、あらゆる節で共通するのが脂分の少ない節の方が良い出汁を取れるということです。脂分の多い魚は節にするのに不向きな傾向になります。
鰹節に限らず脂分が多い節で出汁を取ると生臭い香り、酸味が強く感じる出汁になります。
身体に害を与えるものではないのですが、ツンっとした香りです。
鰹節や混合節(ウルメ、サバなど)は未開封の袋では酸化しない様に窒素ガスを充填して販売されています。そのため袋を開け、初めて使う時は分かりにくく問題はありません。冷蔵庫などで保管した後、2回目、3回目と日がたつごとに、鰹節独特の香りがします。脂分の多い状態の鰹ほど早く参加していきます。
鰹出汁は削りたてが1番香り豊かで良い出汁を取ることができます。
時間が経ち空気に触れる事で、酸化が進み生臭くなっていきます。
脂分が多いほど進行が早く進みます。
料亭では鰹節を生物(鮮魚)として扱うと、取引先のお客様から教えていただいた事があります。日本料理では出汁の良し悪しで味が決まるともいわれます。
「五辻昆布」
京都西陣にある昆布屋さんです。
最高級の鰹節を店前で削り、量売りをされています。
機会があれば是非行ってみてください。1日30杯の昆布ラーメンも提供されています。
鰹節と多様な削り方
最初に紹介した、荒本節と枯本節から分かれて、鰹節には様々な削り方があります。
削り方の種類、どのような料理に使われているのかを見ていきましょう
削りの種類
■薄削(花カツオ) 出汁、トッピング 和食全般
■薄削(血合抜き)
■厚削り 出汁、蕎麦屋さんが好んで使う傾向
■糸削り トッピング
■極細糸削り トッピング
■破砕削り 佃煮、トッピング
大きく分類するとこの様に分けられます。
薄削り(花カツオ)
花カツオは皆さんも一度は目にした事はあるのではないかと思います。
外食でも1番多く使われている鰹節になります。
料亭・割烹での「吸い物」には脂分の少ない良質な鰹で、昆布出汁と合わせて最高の出汁をとります。鰹の酸味を嫌うお店もあり、その場合、鰹の血合部分を取り除いた花カツオを使用するケースもあります。うどん屋の出汁やラーメンスープでも最後の仕上げに「追いカツオ」をする事で出汁に旨味と香りをつけを行います。
枯本節(カビ付き)は荒本節に比べると旨味が強く好まれるお店も多いですが、中にはカビ独特の香りを嫌う料理人もいます。
出汁の取り方
- 水1ℓ
- 花カツオ20g〜30g
- 水を沸騰させた後に火を止める
- 花カツオを投入、鰹節が水に沈み1分〜2分待つ
- ザル、リードなどで濾す
- 完成
※注意点※
濾した後のカツオを絞って出汁を絞り取る事はNG行動です。カツオの雑味、酸味、が全て出てきます。少しもったいなく感じますが、良い出汁を取りたい時は絞る事はやめてください!
厚削り
厚削りは出汁を抽出する際の温度調節が難しいとされています。
花カツオで説明した通り、一般的な薄削り(花カツオ)は沸騰したら火を止め、投入後すぐに濾します。煮出してしまうと鰹独特の酸味、雑味が出るからです。
厚削り、中間削りは蕎麦屋で使用される事が多いです。
鰹節を厚く削る理由の1つとして、鰹の香りを全面に出さない為の工夫です。
花カツオの様な香りが立つ出汁を取ると蕎麦の香りを感じる事ができません。しかし鰹節の旨味は蕎麦の出汁には欠かせない物です。
そこで鰹節を厚く削り、沸騰させずにじっくりと煮出す事で、少しの風味と鰹節の旨味を多く抽出する事ができます。
出汁の取り方
- 水1ℓ
- 鰹厚削り20g
- 沸騰する前の80度程の水に鰹を入れ、温度を上げないように15分〜20分
(昆布を煮出す温度帯です。) - 漉して完成。
※注意点※
高温で煮出すと酸味がとても強く出ます。温度管理をこまめに行いましょう。
糸削り、極細糸削り
こちらはトッピングに使われる事が多く「お浸し」「煮付け」などの上に振りかけて使用します。鰹節を花カツオに削った後、糸目状に削る機械を使って商品にする為、手間がかかります。
極細糸削りは通常の糸削りよりも更に細く、専用の特殊な機械で製造されます。
通常の糸削りよりも高級感が溢れ、演出を豪華にをしてくれます。
破砕削り
小袋で一食用になっている物を見た事あるかと思います。お好み焼き、納豆、などに付にてくるやつです!
糸削りと同様トッピングににも使われていますが、佃煮にも多く使用されます。
糸削りになるとカツオ節同士が絡み合いダマになるリスクがあります。破砕はその心配はありません。大手漬物店の「玉ねぎ鰹」や京都で有名な佃煮屋さんの商品にも多く使われています。
良い鰹節の見分け方
先程もご紹介したように、スッキリした出汁を取れる鰹節脂分の少ない鰹節です。
では、何を注意して選べばいいのか?
結論「色」です。
脂分の少ない鰹は薄ピンク色をしています。
逆に脂分の多い鰹は茶色でくすんだ色をしているのが特徴です。
どちらの鰹出汁も美味しいです。脂分が多い方がパンチの強い出汁がとれます。それを好む方もおられます。まずは澄んだ出汁を味わって頂く事を進めます。
5分で完成!鰹と昆布の合わせ出汁(時短出汁)
花かつお、厚削りの出汁は昆布出汁と合わせる事でさらにおいしく食べる事が可能です。そこで5分でできる最高級の出汁レシピを最後にご紹介します。
レシピ1
- 水2ℓ
- 花かつお40g
- 昆布20g
- 出汁を取る前日に水を入れた鍋に昆布を一晩水に着けておきます。
- 鍋を強火の火にかけます。(2ℓの水なら3分程で沸騰します)
- 沸騰したら中火にし1分~2分煮だします。
- 火を止め花かつおを入れ、鰹がお湯に沈んだ後すぐに濾して完成。
レシピ2
材料
- 水2ℓ
- 鰹厚削り30g
- 昆布20g
- 出汁取り前日に昆布と厚削りを鍋に入れ一晩寝かす。
- 鍋を強火にかけ5分煮だす(沸騰したら中火で)
- 濾して完成
どちらの出汁も高級感あふれる出汁になります。この出汁をベースに煮物、味噌汁、お浸しなど和食を堪能してみてください。醤油、塩、砂糖の調味料も少なく減塩効果にも繋がります。
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